ももこのお茶の思い出
ももこのお茶の思い出3 - 流派“ももこ流”

私は、幼い頃からお茶が好きで、濃い味わいのお茶を好み、家族からも「ももこはぜいたくだ」と言われ続けてきたにも関わらず、濃い味わいのお茶を飲む習慣は一向に変わらなかった。

それどころか、ひとり暮らしになって家族にうるさく言われなくなったら、お茶の濃さはますます濃度を増していった。

自己流に、濃いお茶を入れる方法を編み出したのである。

最初は単に少し多めのお茶っ葉を入れてお湯を注いで急須を10回ぐらい回してから湯呑みに注いで飲んでいたが、もっと濃いのが飲みたいと思い、茶こしを使って直接マグカップにお湯を注いでお茶を出すことにした。

茶こしにお茶っ葉を入れ、お湯を注いだ後、茶こしをお湯につけたまま、小さいスプーンでお茶っ葉をギュッギュッと押すと、ものすごく濃いお茶が出る。

この濃いお茶こそ、私が幼い頃から求めていた味だ。まっ茶やその他のお茶の濃いのとは違う、緑茶の究極の濃さの味だ。これは、濃いお茶好きな人にはたまらないだろうと私は自信を持っている。

この方法で出したお茶は、濃くておいしいというだけでなく、恐らくカテキンやビタミン等の有効成分も普通に入れたお茶より何倍も多く含んでいると思われる。

私は、このやり方でもう20年近くお茶を飲んでいるが、お茶を入れるところを人に見られると「ちょっとアンタ、何やってんの!?」と必ず言われる。

茶道とか、古いしきたり的な事を考えるとまったくもってけしからんと言われるようなメチャクチャな入れ方なんだろうな、とは思うのだが、自分としてはこの入れ方でないと満足できないし、このやり方を“ももこ流”ということにして、普及させれば私は家元ということになり、しまいにはほめられるかもしれないので、みなさんも“ももこ流”をぜひ広げてください。

≪ももこのお茶の思い出2-初めての茶摘み

さくらさんから「お~い、お茶」へ

さくらももこプロフィール

国民的な人気漫画家。1965年5月8日、静岡県清水市生まれ。1986年、少女漫画誌『りぼん』(集英社)に「ちびまる子ちゃん」をスタートし、第13回同作品で講談社漫画賞受賞。テレビアニメ化(フジテレビ系)される。同アニメのエンディング・テーマ「おどるポンポコリン」はミリオンセラーになり、「ちびまる子ちゃん」はアジア各国を含め総計3000万部を売る大ベストセラーに。本業のほかにも、エッセイやラジオのパーソナリティ、翻訳などさまざまな分野で活躍中。現在は、漫画誌『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて「神のちからっ子新聞」、「漫画版 ひとりずもう」を連載中。最新刊はエッセイ「焼きそばうえだ」(小学館)