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2006年12月19日 (火)

お茶農家の秋から冬の農作業~その2

Winter02

鹿児島県志布志市 有明町にて

霜による被害を防ぐため、スプリンクラーを回しているお茶畑


前回お伝えしました“秋整枝”作業のように、お茶農家のみなさんは秋から冬の間にも様々な農作業をしています。


秋から冬にかけての時期、お茶農家のみなさんはこの他にどんな農作業をしているのでしょうか。今回はわたくし、伊藤園のお茶の葉を栽培している静岡県牧之原市と、鹿児島県志布志市 有明町の2つのお茶農家を調べてみることにしました!

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まず私は、静岡県牧之原市でお茶農家を営む水嶋千利(ちとし)さん・友子さん夫妻にお願いして、冬の農作業を見学させていただきました。最初に見せていただくのは、牧之原では“敷きワラ”と呼ばれる農作業。どんな作業なのかな?


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お茶畑の土にワラを敷く水嶋千利さん友子さん


お2人はあらかじめ手ごろな大きさに切っておいたワラを袋に詰め、共同作業でお茶畑のうねとうねの間にワラを敷いていきました。 この農作業の目的は、ワラを敷くことで土が冬場に乾燥するのを防ぎ、またワラを敷く前に土を柔らかに耕すことで、お茶の樹の根が横に張りやすくすることなんだそうです。


なるほど!とっても合理的ですね。お茶農家のみなさんの知恵って、すごいな~。


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敷き詰められるワラ。お茶の根を、冬場の乾燥から優しく守ってくれます。



さてその次に見せていただいたのは、幼木の畑の周囲に防風ネットを張る作業でした。


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牧之原台地のお茶畑では、地元の人が“遠州の空っ風(からっかぜ)”と呼ぶ強い北風が吹くそうです。まだ根の張り方が弱い幼木にとって、強い風は地中の根を大きく揺さぶることになり、お茶の樹の成長に悪い影響を与えます。


そのため風が吹き込んでくる方向にネットを張って、幼木を風から守ってやるんですって。そしてここにも、水分が失われるのを防ぐワラが敷かれています。


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ネットを張るための杭を打ち込む千利さん


これは、見るからに大変な肉体労働ですね~。お茶の樹を育てる中で、幼木のときには特に世話が大変なんだそうです。しかしこの苦労が多い分、摘採するときはまるで我が子の門出を祝うように、喜びもひとしおなのでしょうね。


ところ変わって、鹿児島県の有明町ではどうでしょう。やはり南国 九州といえど、冬の寒さはお茶の大敵であることに変わりはないようです。有明町では、冬や春先に起こる霜による被害を防ぐため、スプリンクラーを使用するお茶畑が多く見られます。


スプリンクラーを使う理由は、寒さが厳しいときにお茶の葉に水をまいてあえて凍らせ続けることで、葉の表面温度を零度以上に保つためです。


もう少し詳しく説明すると、実は水は“凍る”という化学変化を起こすときに、一定の熱量を放出しているのです。そのエネルギーを放出しきってしまうと凍ってしまうので、“凍る”という運動を起こさせ続けなければならない。つまり、水をかけ続ければいいのです。

な~んて、えらそうに言っていますが、私も新茶編のときに丁寧に教えていただいたんですよ。


(霜対策にスプリンクラーを使用する理由に関して、詳しくは「茶畑日記 新茶編」をぜひ参照してみてください)


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有明町のお茶農家、堀口家四男の堀口千郎(ちろう)さんは、スプリンクラーの点検作業を行っていました。目詰まりなどが起こっていないか、丹念にチェックします。


「いざと言うときに作動しないのでは、意味が無いからね。」


なるほど、ごもっとも。実は秋から冬にかけての地道な作業こそが、美味しいお茶づくりにとってより重要なのかもしれませんね。お疲れ様です!


来年も美味しく香り高いお茶を皆様にお届けするべく、全国のお茶農家のみなさんが、一年を通じて気を抜くことなく頑張っていることがよく分かりました。お茶農家のみなさん、応援してますよ~!

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「茶畑日記 写真館」~静岡県 牧之原市のお茶畑

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牧之原市のお茶畑

静岡県でよく見られる、ゆるやかな曲線を描く美しいお茶畑です。

2006年12月19日 | 茶畑生活 |

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コメント

秋から冬の仕事、実に色々あるんですね。
勉強になります。お茶の葉を、あえて凍らせ続ける??水をかけ続ける??
本当のところ、まだ理解出来ません・・。
最初に考えた人は素晴らしいですね!

投稿: moco | 2006/12/19 20:19:53

冬場の作業が大変な事を初めて知りました。
伊藤園の信頼を得るには、地道な努力が必要なんですね。昨日はキムタクの映画「武士の一分」を観ました。ご飯の後には、毎回さゆで茶碗を洗って箸をすすぎます。それが当時の作法だったのでしょう。お茶を飲むなんて、きっと贅沢な事だったんでしょうね。今は本当にいつでも美味しいお茶を飲めて幸せです。お茶農家の皆さんに感謝です!

投稿: まりん | 2006/12/20 15:28:31